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アメリカに住んでいて大変なこと①お金

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本ブログ最初の記事のテーマとして選んだのは、「アメリカに住んでいて大変なこと」です。「楽しいこと」ではなく「大変なこと」としたのは、アメリカに住んでいて大変なことのほうが楽しいことよりもずっと多いからです。ほとんど大変なことしかないと言ってもそれほど言い過ぎではありません。

それら大変なことのほとんどは、例えば日本人であるしげが英語のネイティブ・スピーカーではないから故に味わう大変さや、グリーンカード(永住権)やアメリカ国籍を持っていないことによる大変さなどを除けば、すべてアメリカ人にとっても平等に大変なことであるはずです。しかし、ずっとアメリカに住んできたアメリカ人にとって、それらは当たり前のことでもあるので、あまり気にすることはないかもしれません。しげが日本にずっと住んでいた日本人であるからこそ、それらのことを特に大変に感じてしまっているという側面はあるはずです。

そのことは日本の「常識」を知っている人たちにしか伝わりません。それが、このブログを日本語で日本人の方たちに向けて発信しようと思った理由です。本当はアメリカの人たちにも伝わってくれればうれしいですが、まずは日本人に伝えることで我慢します。もちろん、日本語が読める外国の方たちにも読んでいただけるとうれしいです。

本ブログ最初のテーマとして、「アメリカに住んでいて大変なこと」を次の四つの記事に分けて簡単に説明します。

①お金(本記事)

②食べ物

③移動

④差別・偏見

これらのトピックは、今後本ブログでひとつひとつ詳細に説明し直したい話題でもあるので、今回の記事では概略にとどめます。より詳しい将来の記事を楽しみにしていただけるとうれしいです。

①お金

地域によっても異なりますが、アメリカは物価が高い、ということは事実です。少なくとも、本記事執筆時点において、日本と比べて、明らかに物の値段が高いです。特に食べ物の値段は高く、外食をするなら日本と同程度の質や量のものを食べるのに三倍以上は支払うことを覚悟しなければならないと個人的に思います(本ブログではしげの実感を紹介するので、データなどの提示はめったに行いませんが、気になる方はお調べいただければと思います)。

しかしまた、アメリカ人の給料が、貧富の差こそあれ、平均して日本人よりも高いこともまた事実です。特に、しげが大学にいて感じ取れる範囲では、理系、特にコンピュータ・サイエンスを専攻した人たちは、インターンですら日本人の平均年収を軽く超える額を稼いでいます。それは極端な例ですが、様々な分野で、同じような職業の人たちの収入を比べたときに、アメリカで働いている人たちの収入が日本で働いている人たちのそれよりも高いことが多いのは事実でしょう。

個人差はもちろんあるものの、大学院生の経済状況が日本よりもアメリカで優れていることも間違いありません。プロフィールに書かせていただいたように、しげも現在、アメリカの大学院に所属する博士学生です。アメリカでは、大学や分野、個人の実力や運などにもよりますが、大学院生が大学で働いたり奨学金をもらうことによって学費や生活費のすべてを自力で賄うことは、それほど珍しいことではありません。そのことは、アメリカの大学院への進学を目指したり興味を持って調べたりしたことのある方には、有名なことかもしれません。ただし、現在のしげはそのような状況からはほど遠く、博士課程を始める前に想像していた生活とはまったく似ても似つかないものになっています。

いま述べたことだけを見ると、アメリカは物価は高いけれど収入も高く経済的に恵まれているということになってしまいます。しかし、日本に慣れた人にとってつらいのは、単に物価が高いということではありません。

アメリカで生活するうえで「お金」面でつらいのは、アメリカでは、多くのサービスが「詐欺」や「窃盗」と言って差し支えないような悪徳な商売をしており、常にそのための警戒をし、対応に追われなければならないことです。これは、アメリカに住んでみるとかなり早い段階で気づくことであるものの、逆に日本にしか住んだことのない方にはまったく想像できないことではないでしょうか。

アメリカには、日本で「サービス」と呼ぶことができるものはほとんど存在しません。そう考えると、日本の生産性が低いと言われることも当たり前ではないかと思います。非効率的な働き方をしているという面もあるとは思いますが、日本の生産性が他国に比べて低いのは、単純に、日本企業の多くが本当の意味での「サービス」を行っているからではないでしょうか。その「サービス」の価値が、利益や株価などの数字には反映されにくいということです。日本の企業は株主へ還元するという意識が低いこともよく指摘されますが、それも、株主以上に顧客を重要視しているためではないでしょうか。アメリカの多くの企業にとって、「顧客」はお金を搾り取れるだけ取る相手でしかありません。

アメリカの多くのビジネスが「詐欺」や「窃盗」を行ってしまう原因には、単に仕事が適当で不注意なせいでそうなってしまうということもありますし、悪意がそこに明確に存在することも多々あります。アメリカでは、「法律」以前にそもそも「取れるお金は取る」、「取ってしまえばこちらのもの」という前提ルールのようなものが人々の意識のなかに刷り込まれています。お金を取られたら取られた側が悪いのです。そもそも取られないように慎重に行動することが最も重要です。

どれだけ慎重に行動しても、問題は必ず毎日のように起こります。オンラインで注文した商品が届かない、商品が壊れた状態で届く、商品は壊れてないが驚くほどに低品質、商品が説明と違う、ひとつしか購入していないのにふたつ分の値段が請求されている、謎の請求がある、使ったはずのクーポンが適用されていない、カスタマーサービスに電話をして数時間待ったがつながらない、カスタマーサービスと電話で話し問題が解決されたと思われたのにその後いくら待っても実際には解決されない、などといった問題はほぼ毎日起こります。

これらは、アメリカ人にとっても問題なはずですが、状況が全く違う日本で生まれ育った人には特に問題に感じられてしまいます。しげは、アメリカに住むなかで、どのようにしてこのような問題をできる限り予防するか、また問題が起きてしまったときにどのように対処すればよいのか、少しずつ勉強中です。しかし、正直に言って、現時点では、ほぼ常に何かしらの対処すべき問題を抱えており、結局不当にお金を取られてしまうことも少なくありません。

一方で、こちらが運良く不当に得してしまうことも正直あります。その場合も、アメリカでは、黙ってその得を受け取ることが社会のルールとしても正しいと信じています。

しかし、損するような問題のほうが断然多いですし、この対処ばかりに時間と精神をとられていては、他の大事なことができません。大きな大きな問題です。

「お金」を「アメリカに住んでいて大変なこと」のひとつ目に挙げましたが、考えてみれば、お金があればその他の問題も解決できることが多いかもしれません。そういう意味では、ほぼすべての問題が「お金」に収束するとも言えます。いくらまずい食べ物ばかりでも、きっとものすごい高額を払えばおいしい食べ物もあるし、お金を払えばタクシーで移動もできるし飛行機の航空券も買うことができるからです。お金があり、そのことが居住地域、服装、持ち物などに表れていれば、他人から失礼な態度を取られることや危険な目に遭うことも減るかもしれません。

とはいえ、本当にすべての問題がお金で解決できるとは考えていません。ですが、最低限のお金を持っていなければ、「健康で文化的な最低限度の生活」ができないことは事実です。アメリカの話をしているのに日本国憲法から引用したのは、良くも悪くも、日本に慣れた日本人はアメリカに行っても日本の「常識」で物事を判断することをなかなかやめられないからです。地域によってかなりの差はあると思いますが、アメリカでは、「健康で文化的な最低限度の生活」をするのに、日本の二倍もしくはそれ以上の金額が必要ではないでしょうか。

アメリカには、いい企業ももちろんたくさん存在します。悪い経験をすることが圧倒的に多いですが、本ブログでも、たまにはいい企業について扱いたいと思います。

本記事の続編「②食べ物」はこちら。

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